気候変動への取り組み(TCFD)
大日精化グループでは、気候変動対応を2050年カーボンニュートラルの実現に向けた地球規模での大きな環境リスクであると同時にビジネスチャンスでもあると認識しています。 社会と当社グループがともにサステナブルな成長を続けていくために、サプライチェーン全体のリスクと機会を的確に捉え、適切に事業戦略に反映させ、実行していくことが重要であると考えています。この取り組みを確実に実行できるよう、2021年にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同し、以下に示す体制・戦略で取り組んでいます。
ガバナンス
当社グループでは、気候変動対応をCSR・ESGのマテリアリティのなかでも最重要課題の一つとして位置づけています。社長執行役員の指示のもと、「サステナビリティに関する考え方」に沿って執行役員、環境安全統括部による活動テーマの選定、環境委員会による活動評価を行い、定期的に取締役会による監督、指導を受けています。2026年3月期では取締役会から、サステナビリティに関するリスクと機会を分析し、全社目標達成に向けて事業戦略と連携させていくよう指示を受けています。
また、気候変動対応はサステナビリティ関連業務に対する業績評価の一つに設定されており、その成果は業績評価され、役職員の報酬に反映されています。
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リスク管理
当社グループの全社的なリスク管理はリスクマネジメント体制にて、社長執行役員の指示のもと各取締役、執行役員がリスク対応にあたっています。
気候変動のリスクは多岐にわたるためCSR・ESG推進本部にて、法令や業界動向の変化によるものを“移行リスク”として、自然災害や温暖化の進行など環境の悪化によるものを“物理的リスク”として分類し、並行して収益機会も同様に分類しています。
全社的なリスク管理では、気候変動のみならず他の事業リスクと合わせて影響度と発生可能性から重要度を分析、評価しています。そのうえで当社グループの事業戦略に取り込み、各取締役、執行役員を通じて実行部門である各機構および関係部署にリスク対応を指示しています。
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気候変動に関する戦略
| CO2排出量削減の移行計画 | 移行計画の目標および進捗実績 |
|---|---|
| 当社グループでは、自らの事業活動に伴い発生するCO2排出量(Scope1&Scope2)削減に向けた中長期的な2030年までの移行計画および長期的なロードマップを策定し、2050年カーボニュートラルの実現を目指しています。 | 指標:国内・海外拠点の事業活動に伴い排出される CO2排出量(Scope1+Scope2)(マーケット基準) 目 標:2031年3月期に2020年3月期比48%削減 進 捗:2026年3月期に2020年3月期比54%削減 |
Scope3の削減に向け サプライチェーン全体で共創
当社グループにおけるScope1・2・3のなかでも、Scope3のカテゴリ1(購入した製品・サービス)が占める割合は非常に大きいことを認識しています。
このScope3の削減に向けて、当社グループの努力のみならず、サプライヤーやお客様とのパートナーシップを強化し、サプライチェーン全体で足並みを揃えてカーボンニュートラルの実現に前進していきます。
シナリオ分析
当社グループでは、サプライチェーンの一員として気候変動対策に貢献するため、国際的な調査報告書※1とそれに関する環境省の解説書を基に、地球の平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるための1.5℃シナリオと地球の平均気温が4℃まで上昇した場合の4℃シナリオを分析し、これらのシナリオに対するリスクと機会を想定しています。各シナリオによるリスクと機会は、影響度と発生可能性から優先度を考慮し、当社グループの製品開発と事業戦略に取り込むとともに、今後もさまざまな動向を注視し、定期的な評価と見直しを進め、情報開示を行っていきます。
| 1.5℃シナリオ想定概要 | 4℃シナリオ想定概要 |
|---|---|
| 地球温暖化防止に向けた規制強化や地球温暖化防止に貢献する需要構造の変化が加速。将来的に炭素税の単価が欧米先進国並みに上昇すると考えられる。自然災害の影響も現在よりも重視する必要があると想定。 | 地球温暖化が深刻化し、平均気温上昇による需要構造の変化と労働環境への影響が発生。大規模な自然災害による事業活動への影響が頻発すると想定。 |
- ※1 国際的な調査報告書:IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による評価報告書
想定リスクと機会および対応策
EV化や自動運転を支える機能材、CO2を原料とするヒドロキシポリウレタン(HPU)、軟包装材向け脱墨型インキ、バイオマス由来製品など、当社の技術が貢献できる市場需要が拡大しています。これらの製品群を戦略的に拡販し、収益基盤の強化を図ります。
指標・目標と進捗実績
気候変動対策を含むサステナビリティ貢献製品の売上高について、
2027年3月期に2024年3月期比30億円増を目指す。
進捗実績: サステナビリティ貢献製品の売上高
2026年3月期実績 2024年3月期比19億円増加
エネルギー原単位1%低減を目指した計画的な省エネルギー対策を実施する。
(省エネ法対応を基本とするため、国内製造拠点)
- 進捗実績: 省エネルギー対策の実施件数 2026年3月期:79件
- 年間効果: 261㎘(原油換算)相当(国内総エネルギー使用量の約1.3%)
- CO2排出量削減:524t-CO2 主な項目
- ボイラー、蒸気配管での熱利用の効率化:年間効果約138㎘(原油換算)
- 圧空系統の圧力最適化と運用方法改善:年間効果約12.5㎘(原油換算)
水リスク対応と水資源の有効活用
国内外における気候変動の影響により、渇水や洪水などの問題が深刻化しているなか、大日精化グループでは、水リスクの把握と対応、水資源の有効活用を重要な課題と捉えています。水害や水質規制などの水リスクは製造拠点の活動に大きな影響を及ぼすため、拠点ごとに適切な水リスクの把握と管理に努めています。国内拠点では自治体のハザードマップなどに基づき、地域別のリスク調査を実施しています。海外拠点では、流域の水リスク把握とその対応・対策に関するヒアリングを検討しています。水害リスクが大きいと想定される拠点については、製造拠点別に水害のリスクを想定し、リスク管理で記したリスクマネジメントの自然災害に関わるリスクと捉えて、将来の事業計画と連携させて中長期的な事業計画に反映させています。評価ツールとしてAqueduct Water Risk Atlas※6を使用し、水ストレス、干ばつリスクが「高」を含むと判断された地域(中国・上海、ベトナム、インド)にある製造拠点を特定しています。これらの拠点においても、水の循環利用を徹底し、用水使用量、COD排出量、製品の水原単位を報告し、評価を行っています。また、水資源の保護、水質汚染のリスク防止のため、製造拠点では生産向け用水の循環利用と適切な排水管理を行っています。大日精化グループでは、水は貴重な自然資源と認識し、水の循環利用に努め、製造拠点の排水は、活性汚泥法を用いた排水処理設備などの処理設備を適切に運用することで、排水基準以上に浄化して放出しています。物理的リスク評価に加え、今後は製造拠点でのインパクト評価を実施し、その結果を基に必要な対策と対応を事業戦略に反映させていく計画です。
-
※5 実質再生可能エネルギー100%の電力を調達する電力会社の調整後CO2排出係数にて算定
※6 Aqueduct Water Risk Atlas:国際環境NGOの世界資源研究所(WRI)が発表している、世界各地域の流域別水リスク評価ツール
取水量・排水量の推移
水源別取水量(国内・海外)
| 単位 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 地下水 | 千㎥ |
2,122 | 2,324 | 2,125 | 2,067 | 2,341 | 2,358 | |||||||
| 第三者 の水源 (上水道) |
165 |
167 |
163 |
169 |
163 |
164 |
||||||||
| 第三者 の水源 (工業用水) |
344 |
310 |
266 |
235 |
221 |
171 |
||||||||
| 取水量総計 | 2,631 | 2,801 | 2,554 | 2,471 | 2,725 | 2,693 | ||||||||
放流先別排水量(国内・海外)
| 単位 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 河川 | 千㎥ |
2,416 | 2,591 | 2,379 | 2,306 | 2,317 | 2,276 | |||||||
| 公共下水 | 171 | 172 | 129 | 150 | 141 | 141 | ||||||||
| 排水量総計 | 2,588 | 2,764 | 2,508 | 2,456 | 2,458 | 2,417 | ||||||||
水ストレス地域における取水量・排水量の推移
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 取水量 (千㎥) |
32.3 |
36.6 |
34.7 |
29.8 |
33.0 |
27.3 |
||||||
| 総取水量に 占める割合 (%) |
1.2% |
1.3% |
1.4% |
1.2% |
1.2% |
1.0% |
||||||
| 排水量 (千㎥) |
23.5 |
24.2 |
23.8 |
22.7 |
21.9 |
19.4 |
||||||
| 総排水量に 占める割合 (%) |
0.9% |
0.9% |
0.9% |
0.9% |
0.9% |
0.8% |
||||||
-
評価ツールとしてAqueduct Water Risk Atlasを使用し、水ストレス、干ばつリスクが「高い」を含むと判断された地域(中国・上海、ベトナム、インド)にある製造拠点の取水・排水量
