気候変動への取り組み(TCFD)
大日精化グループでは、気候変動対応を企業と社会の持続可能な成長に直結する重要な課題と認識し全社的に取り組んでいます。この取り組みを効率的かつ確実に遂行するために、TCFD※1提言に賛同しました。また、CDP※2気候変動プログラムに参加し、社内の体制を強化しています。2023年3月期からは、IPCC※3の第6次報告の1.5℃シナリオをもとに2050年カーボンニュートラルを目指して移行計画書を策定しています。
- ※1 TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures ): 気候関連財務情報開示タスクフォース
- ※2 CDP(Carbon Disclosure Project):企業のサプライチェーン全体での気候変動対策について調査・評価する活動を行う国際NGO
- ※3 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル
ガバナンス
大日精化グループでは、気候変動によるリスクと機会に関する全社的な活動を重要な経営課題のひとつと捉え、社長の指揮のもと取組んでいます。
重要課題
- 省エネ活動と再生可能エネルギーによる電力の両輪で大日精化グループの操業による温室効果ガス排出量を削減する。
- 脱炭素ビジネスに対応する製品群の開発と拡販により社会全体の温室効果ガス削減に貢献する。
- 自然災害リスクに対し、リスクの回避、軽減、回復力の強化を目指し、ハードとソフトの整備を進める。
リスク管理/機会分析と戦略
大日精化グループでは、CSR・ESG推進本部にて気候変動により生じるリスクについて、法令改正や業界動向の変化などによる規制強化や需給構造の変化を移行リスク、 自然災害へのレジリエンス強化や温暖化の進行による労働環境の悪化を物理的リスクと捉え、これらリスク内容に応じて実行部門である各機構及び関係部署にリスク対応業務を指示しています。また、代表取締役社長の指示のもと、サプライチェーンの一員として気候変動対策に貢献するため、IPCC第5次報告書とIPCC第6次評価報告書及び環境省によるIPCC評価報告書の解説をもとにリスク分析を行っています。地球の平均気温の上昇を2℃未満に抑えるための2℃シナリオを用いてリスクの想定と分析を行い、さらに 1.5℃未満に抑えるための1.5℃シナリオの実現、および2050年カーボンニュートラルに向けた新たな目標設定と移行計画に取り組んでいます。各シナリオによるリスクと機会は、影響度と発生可能性から優先度を考慮し、大日精化グループの製品開発と事業戦略に取り込むともに、今後もさまざまな動向を注視し、定期的な評価と見直しを進めていきます。
2℃シナリオ
地球温暖化防止に向けた規制強化や地球温暖化防止に貢献する需要構造の変化が加速。自然災害の影響を現在よりも重視する必要があると想定。
シナリオにもとづく想定リスクとその対応策
リスク分類 | 想定リスク及び財務影響 | 対応策 |
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移行リスク |
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物理的リスク |
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シナリオにもとづく機会分析と戦略
想定機会及び財務影響度 | 戦略(以下の製品の開発と販売の促進) | |
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脱炭素化に貢献する製品の需要拡大
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ESG貢献製品の 売上として 88億円増 |
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サーキュラーエコノミーに向けた需要変化
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4℃シナリオ
地球温暖化が深刻化し、平均気温上昇による需要構造の変化と労働環境への影響が発生。大規模な自然災害による事業活動への影響が頻発すると想定。
シナリオにもとづく想定リスクとその対応策
リスク分類 | 想定リスク及び財務影響 | 対応策 |
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移行リスク |
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物理的リスク |
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シナリオにもとづく機会分析と戦略
想定機会及び財務影響度 | 戦略(以下の製品の開発と販売の促進) |
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気温上昇による生活様式、需給構造の変化
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激甚自然災害に備えたインフラ強化事業の拡大に向けた製品の需要拡大
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- ※ 社内カーボンプライシングの実施(国内大日精化グループ)
設定単価: 8,000円/t-CO2
影 響 額: 大日精化が排出するCO2に対して、311百万円
サプライチェーンにおけるCO2に対して、最大想定2,000百万円
活用例: 事業の収益性分析
省エネ設備導入時の改善効果金額に算入し、投資を促進。
指標と目標と進捗実績
指標(KPI): 国内拠点のエネルギー消費に伴い排出される温室効果ガス(Scope1+Scope2)
目標値:2024年3月期に2014年3月期比70%削減※4
進 捗:2023年3月期実績 2014年3月期比77%削減
- ※ GHGサプライチェーン排出量 2023年3月期Scope1・2・3のデータは「環境マネジメント(リンク)」をご覧ください。
- ※4 実質再生可能エネルギー100%の電力を調達する電力会社の調整後CO2排出係数にて算定
気候変動対策を含むESGに貢献する製品の売上高を、2024年3月期に2021年3月期比20%増を目指す。
進 捗:ESG 貢献製品の売上高
2023年3月期実績 2021年3月期比19%増
水リスク対応と水資源の有効活用
近年増加傾向にある水害に備え、自治体のハザードマップなどをもとに製造、営業拠点のリスクを想定しています。リスクが大きい拠点については、設備面の対策、初動対応 マニュアル作成などのBCP対策を講じています。また、水資源の保護、水質汚染のリスク防止に関して、製造拠点では、生産向け用水の循環利用と適切な排水管理を行っています。最も水を使用する拠点の1つである東海製造事業所では、前年度比で井戸水の揚水量を約5%削減しました。製造拠点の排水は、活性汚泥法を用いた排水処理設備などの処理設備を適切に運用することで、排水基準以上に浄化して放出しています。Aqueduct Water Risk Atlas※5で水ストレス、干ばつリスクが“高”以上の地域にある製造拠点(中国・上海、ベトナム、インド)においても、水の循環利用を徹底しています。
- ※5 Aqueduct Water Risk Atlas:国際環境NGOの世界資源研究所(WRI)が発表している、世界各地域の流域別水リスク評価ツール
対応するESG貢献製品
気候変動(地球温暖化)対応
- 二次電池、太陽電池用部材
- 車両の軽量化に寄与する樹脂製品
- UV・EBインキ、コーティング剤
- CO2を原料とした素材
- 建築物の省エネ用遮熱コーティング剤、高断熱窓向け樹脂製品
サーキュラーエコノミー対応
- バイオマス由来の製品
(インキ、ウレタン樹脂、樹脂パウダー) - 軟包装材リサイクル用脱墨型インキ
- 天然物由来高分子(キチン・キトサン)
その他 社会貢献に向けたアイテム
- ガスバリア性軟包装材向け接着剤
(フードロスの削減)「緩和」 - 高圧送電線の被覆材向け素材
(電力インフラの強化)「緩和」 - 高速大容量通信線向け被覆材用着色剤
(通信インフラの強化)「緩和」